最近テレビっ子になっていることはすでに書きましたが
アホな私は、その件でとても大事なことを書き忘れていました。
その大事なこととは桐谷広人先生の話です
いまや桐谷先生といえば株主優待券で生活する姿がたびたび紹介される倹約家として有名。最近ではどんな場所でも自転車で移動する謎の自転車男としてバラエティ番組でもよく見かけるようになりました。
先日もマツコデラックスさんの番組でジェットコースターに乗せられているのを拝見いたしましたが、急降下中、恐怖で半笑いになったような先生のお顔は最高でした。以前、私が変なことをするたびに、あんな表情をされているのを思い出し、
申し訳ない気持ちになりながらも、大笑いさせていただきましたm(_ _)m

そうです。私にとって桐谷先生は将棋界の大恩人なのです。
先生は、私が内弟子になった時に最初にプロで指していただいたお方。
テレビで見るのと同じように、優しく真面目に指導してくださいました。

この話はそんな先生の真面目さゆえに起きてしまった事件です。

それは私の病気がまだひどくなかった時です。
たぶん、読者の方はすでにご存知かとは思いますが、私も人生いろいろあったクチで、当時それなりにお金がなく、新しい部屋に引っ越すのもやっとという状態でした。

そんな様子を見かねた先生から、ある日電話があり、
「なにかあれば力になるよ」
というありがたいお言葉。
その頃、すでに先生は株主優待券生活で有名になり始めていた時期でしたから、
ついつい私も甘えて、
「先生、優待券かなんかでコタツないですか。あればうれしいですけど」
なんて軽い気持ちでお願いしてしまったのです。

さすがに本気ではなかったのですが、それから数日後、なんとコタツが届いたのです!
しかも、例の自転車に乗って、先生自ら届けてくれたのですよ、皆さん!
「先生、本当に持ってきてくれたんですね、ありがございます!」
「うん。それじゃあ」
自転車で颯爽と去っていく先生の後ろ姿のカッコイイこと。
マツコさんが惚れるのがよくわかります。
皆さんにも見せたかったくらいです。

そんなときめきを胸に、私は部屋に戻って改めてコタツを見たのですが、
なにか変なのです。
「新品じゃないのはいいとして、あまりにも傷だらけじゃないか? あれ? なんで、このコタツ、コードがないんだろう?」
コードについてはすぐに先生が入れるのを忘れたんだなと理解したのですが、さらなる疑問&違和感が押し寄せてきます。
「あれ? このコタツなんでこんなに薄いんだろう?」
よく見るとそのコタツには暖房器具である赤いランプも、網の部分もなかったのです。
えっ、なにこれ!?
見れば天板もありません。

私の部屋の真ん中に突如出現した、こたつの枠組み、足四本付き。
ひっくり返すと赤いランプもコードもない、すっきりしたデザイン。
元に戻すと格子状の穴から部屋の床を見ることができます。


妖怪こたつもどき……。


ふっとため息をついた私は、こたつもどきにインドで買った布(サイババ騒動後にインドに行って買ってきた思い出の品)を掛け、こたつの真ん中の平な部分にかろうじてお茶とお菓子を置いて中に足を突っ込みました。

そして、桐谷先生に思いをはせました。
──たぶん、これは先生が以前使っていたものだったんだろうなあ。
暖房部分が壊れたら、その部分を外して、たぶん、布団なんかをかけて使用した、愛着のこもった一品、青春の思い出だったんだろうなあ…。
そんな大事なものを私のために……。
重たくて、持ちにくいものをわざわざ自転車に載せてここまで……。
その思いは感謝してもしきれません──

「桐谷先生って本当にいい人だなあ……………でも、足が寒い……」

熱いお茶をすすりながら寒さに耐えた夜でした。